
訪日外国人の増加に伴い、多言語対応を進めている自治体や観光地は年々増えています。パンフレットや案内表示、Webページを翻訳する取り組みも広がっていますが、現場からはこんな声も聞こえてきます。
「翻訳を依頼する際に、何を準備すればよいか分からない」
「多言語化に取り組みたいが、どこから手をつけていいか迷う」
「表現が適切かどうか、判断に不安がある」
こうした課題は、単に翻訳の質だけでなく、翻訳を含む"多言語化プロセス"全体に要因があるケースが多いのです。
私たち株式会社ラユニオン・パブリケーションズは、観光パンフレットや案内表示などの多言語化支援を行っている制作会社です。
「翻訳して終わり」ではなく、「伝わる表現に整える」ことを重視し、翻訳・表現調整・制作までを一貫して対応しています。
この記事では、自治体や観光関連の担当者が業者を選定し、制作を進めるにあたって注意しておきたい7つのポイントを、「制作前」と「制作後」の2つのタイミングに分けてご紹介します。
なぜ「翻訳したのに伝わらない」が起きるのか?
翻訳が正確でも、「情報の構成」や「読み手の文化背景」によって、意図が正しく伝わらないことがあります。機械翻訳を使った場合や、元の日本語の表現が曖昧なままだと、こうしたズレが起こりやすくなります。
つまり、伝わる多言語対応には、「翻訳そのもの」だけでなく、「翻訳前後の準備やチェック」が欠かせません。
制作“前”に気をつけたい4つのこと(業者選定・原稿準備フェーズ)
1. 伝えたい対象(訪問者像)を明確にする
観光案内では広い対象を想定することも多いですが、制作の際には「誰に特に伝えたいか」をある程度想定しておくと、表現や構成が定まりやすくなります。
例)
・英語圏の若年層
・東アジアからのファミリー層
誰に届けたいのかを最初に整理しておきましょう。
2. 翻訳の目的と媒体ごとの役割を整理する
「パンフレット」「Webサイト」などの制作では、それぞれ目的や役割が異なります。翻訳する目的を明確にし、それに合った情報量・言葉選びが重要です。
例)
・観光地の魅力を伝える
・外国人向け案内を簡潔にする
・人手不足対策として自助的な情報提供を促す
3. 元の日本語原稿を"翻訳しやすい形"に整える
日本語原稿の見直しをサポートしてくれるかどうかも、業者を選ぶ際の重要なポイントです。
回りくどい言い回しや、日本語特有の曖昧な表現は、翻訳者にとってハードルになります。原稿作成の段階で「伝わる構造」に整えておくことが、良い翻訳への第一歩です。
4. 機械翻訳か、人の手による翻訳かを判断する
予算や納期によっては、業者側で機械翻訳を併用するケースもあります。
観光案内のように「伝わり方」が重視される場面では、単なるネイティブチェックだけでなく、人が実際に訳し、文意や文脈を丁寧に整えているかも重要な判断基準です。
業者に依頼する際は、翻訳工程やチェック体制の詳細も確認しましょう。
制作“後”に確認すべき3つのこと(納品時・最終チェックフェーズ)
5. 表現は不自然でないか? 誤訳や直訳になっていないか?
翻訳された文がネイティブにとって自然で伝わりやすいかを確認するには、ネイティブによる校正作業が重要です。
この「翻訳+ネイティブチェック」の体制が整っているかどうかは、制作が始まる前、業者選定の段階でも確認しておくことをおすすめします。
6. レイアウトやフォントが崩れていないか
多言語に展開すると、言語によって文字量や文字幅が異なり、レイアウトが崩れるケースがあります。
一般的には中国語・韓国語はコンパクトになりやすく、英語は長くなる傾向があります。
制作会社が多言語DTPに慣れているかどうか(チェック体制があるか、実績があるか)も重要な確認ポイントです。
7. 情報が一部だけ翻訳されて"中途半端"になっていないか
DTP作業などの工程で、翻訳済みの文が一部だけ差し替わっておらず、日本語のまま残ってしまうケースがあります。特に中国語は日本語の漢字と見た目が似ているため、こうしたミスに気づきにくい点も注意が必要です。
印刷後は修正が難しくなるため、納品前の段階で、翻訳内容の反映漏れがないかを入念にチェックしておきましょう。
パンフレットやWebサイトの多言語対応を検討中の自治体・観光協会の皆さまへ
私たち株式会社ラユニオン・パブリケーションズでは、観光・地域プロモーション分野での多言語コンテンツ制作を数多く手がけてきました。
「多言語コンテンツ支援サービス」では、翻訳だけでなく、原稿の再構成や表現調整、デザイン制作まで一貫して対応しています。
元データがない場合や、一部だけを修正・更新したいといったケースにも柔軟に対応可能です。