
訪日外国人への対応を進める中で、「どの言語を翻訳すべきか分からない」という声をよく聞きます。特に、広報・企画・総務・インバウンド担当など、多言語対応の経験が浅い方にとっては、判断が難しいテーマです。
この記事では、観光施設が翻訳対応すべき言語をどのように選ぶべきか、その考え方と進め方を初心者向けにわかりやすく、そして読み応えのある内容で解説します。
この記事でわかること
- 観光施設で翻訳対応すべき言語の選び方
- 訪日外国人の国別傾向とその特徴
- 翻訳言語の優先順位と追加検討すべき言語
- よくある失敗例と注意点
- 施設タイプ別のおすすめ言語セット
なぜ翻訳言語の選定が重要なのか?
翻訳は一度きりの作業ではなく、定期的な更新・品質チェック・印刷や設置などの管理も伴います。対応言語を増やしすぎると、運用負荷が高まり、逆に品質が落ちてしまうことも。実際には使われていない言語に翻訳コストをかけてしまうと、限られた予算を無駄にする結果にもつながります。
そのため、「誰に向けて」「何を伝えるか」に基づいた戦略的な言語選定が非常に重要です。無理なく持続可能な対応をするには、現状を把握したうえで、優先順位を決めることから始めましょう。
データで見る訪日外国人の傾向と国別特徴
観光庁やJNTOのデータによると、2025年上半期の訪日外国人の多くは以下の国・地域から訪れています:
- 韓国
- 中国(本土)
- 台湾
- アメリカ
- 香港
- タイ
- フィリピン
たとえば中国本土は簡体字、台湾・香港は繁体字を使うため、それぞれ分けた対応が必要です。韓国はリピーターが多く、案内の丁寧さが満足度に直結します。英語圏は汎用性が高いため基本対応とされ、東南アジアは宗教や食文化の配慮が必要な場合もあります。
訪問傾向は地域や施設によって異なるため、自施設の入館記録やアンケートなどの実データをもとに判断することが第一歩です。
翻訳対応すべき言語の優先順位とは?
まず検討すべき言語は、以下の4つが基本です:
- 英語:最も汎用性が高く、観光案内の標準言語
- 中国語(簡体字):中国本土向け。訪問者数は常に上位
- 中国語(繁体字):台湾・香港向け。安定した需要あり
- 韓国語:短期旅行やリピーターが多く、満足度向上に直結
加えて、地域や施設によっては以下も検討対象になります:
- タイ語・ベトナム語:東南アジア団体旅行が増えているエリア向け
- スペイン語・フランス語:欧米圏の来訪がある文化施設向け
まずは「英語+中国語(簡・繁)+韓国語」の基本セットから始め、必要に応じて段階的に拡張するのが現実的です。
翻訳言語の選定を間違えるとどうなる?(失敗例から学ぶ)
ある地方の観光案内所では、姉妹都市の関係からポルトガル語対応を導入しましたが、数年で数件しか利用されず、更新や印刷コストが無駄に。別の温泉地では、韓国語対応を後回しにしたことで、クレーム対応に追われたケースもありました。
こうした例からも、感覚や外部要因ではなく、「訪問者データ」や「施設の立地特性」に基づいた言語選定の重要性が分かります。
施設タイプ別:おすすめ翻訳言語セット
都市型・交通結節点:英語、中国語(簡・繁)、韓国語
→幅広い来訪者に対応するため、標準4言語を推奨。
温泉・自然観光地:英語、韓国語、繁体字
→台湾・韓国からの旅行者が中心。
歴史文化施設:英語、簡体字、フランス語
→欧米圏や中国本土の訪問が多い施設向け。
地方の小規模施設:英語+主要1〜2言語
→コストに応じて優先度を絞るのが現実的。
よくある質問(Q&A)
Q:英語だけではだめですか?
A:最低限の案内は可能ですが、非英語圏(中国・韓国など)では英語が通じないこともあり、母語対応があると満足度が大きく向上します。
Q:AI翻訳だけで対応しても問題ない?
A:初期対応や大量コンテンツには有効ですが、誤訳リスクもあるため、重要な案内にはプロの翻訳チェックをおすすめします。
まとめ
観光施設にとって翻訳言語の選定は、「来訪者の満足度」と「予算の最適化」の両方に直結する重要な判断です。英語を基本に、中国語や韓国語など、自施設に合った言語を優先的に対応し、段階的に広げることで、無理なく効果的な多言語対応が可能になります。
まずは、「どの国・地域の来訪者が多いのか?」を把握し、データと現場感覚の両面から、実践的な言語選定を進めてみてください。