
観光施設を訪れる外国人観光客が年々増加する中、多言語対応の重要性がますます高まっています。
しかし、限られた予算や人手の中で「どの言語を優先して翻訳すべきか」という判断は、担当者にとって悩ましいテーマです。
本記事では、観光施設の広報・企画・総務担当者が、効率的かつ的確に翻訳対応を進めるための「言語選定の考え方」と「対応ステップ」をわかりやすくご紹介します。
なぜ「翻訳する言語の選定」が重要なのか
観光施設が多言語対応を進める際、「どの言語を翻訳すればよいか?」というのは避けて通れない悩みです。
対応言語を間違えると、来場者に十分な情報が届かず不便をかけてしまったり、翻訳費用が無駄になってしまうこともあります。また、文化的背景の違いを配慮しない翻訳は誤解やクレームのもとにも。
限られた予算で最大の効果を上げるためには、訪問者の傾向に合わせた言語選定が大切です。
観光施設における訪日外国人の主な言語傾向
直近の訪日客データから見る上位言語
まずは、どの国から多くの観光客が来ているかを把握することが重要です。
日本政府観光局(JNTO)のデータなどによると、英語圏(アメリカ、イギリス、オーストラリアなど)からの訪問者が依然として多い一方で、中国本土、台湾、韓国からの観光客も非常に多く、特にアジア圏への対応は欠かせません。
施設別の来訪傾向(例:動物園 vs 美術館)
施設によってはタイやベトナムなど東南アジアの比率が高い場合もあります。自施設の立地や内容により、来場者の傾向を確認しましょう。
翻訳言語を選ぶ際の3つの基準
① 施設の訪問者データ・国籍比率を見る
施設の入場者アンケートや地域の観光統計が参考になります。
② 地域のインバウンド施策や連携事業を確認する
自治体や観光協会との連携で、対応言語を揃えることで効果的になります。
③ 対応できるリソース・予算とのバランスを考慮する
言語数が多くなるほど管理やコストが増えるため、運用面も見据えた判断が必要です。
おすすめの言語対応パターン【ケース別】
まず最低限対応すべき言語セット
どの施設でも最低限対応しておきたいのは「英語+中国語(簡体字・繁体字)+韓国語」です。
余裕があれば追加検討すべき言語
さらに、東南アジアの来訪者が多い施設ではタイ語・ベトナム語なども検討すると良いでしょう。
多言語化しすぎると逆効果?避けたい落とし穴
むやみに多言語化を進めると、翻訳の質が下がったり、誤訳によるトラブルの可能性もあります。「必要な情報を、必要な言語で届ける」ことを意識しましょう。
効果的な翻訳対応の進め方【ステップ別】
現状の案内物・パンフレットを棚卸し
館内案内やパンフレットなど、現在の多言語対応状況を整理しましょう。
重要度の高いコンテンツから優先翻訳
利用頻度の高い表示や質問が多い箇所から優先的に翻訳を進めます。
AI翻訳と人力翻訳の使い分け方
AI翻訳はスピードとコストの面では便利ですが、不自然な表現や誤訳が起こることもあるため、重要な表現には専門の翻訳者を使うことがおすすめです。
まとめ|翻訳言語の選定は「目的+データ」で判断を
「翻訳する言語をどう選ぶか?」という問いには、明確な正解はありませんが、「誰に、何を、どのように伝えたいか」という目的をはっきりさせることで、適切な判断ができるようになります。
施設の特性や利用者データを元に優先順位をつけ、必要最小限の言語で始めて、徐々に拡張するのも良い方法です。
効率的で、伝わる翻訳を行うことで、外国人来場者の満足度向上にもつながります。