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【コラムVol.06】博物館の案内表示を多言語対応するには?インバウンド対応の基本と実践事例

訪日外国人の増加により、博物館でも「多言語対応」のニーズが高まっています。

しかし実際の現場では、

  • 英語だけで十分なのか?
  • 展示の専門用語をどう翻訳すればいいのか?
  • デザインと統一感をどう保つか?

といった悩みを抱える担当者も多いのではないでしょうか。

本記事では、博物館の案内表示を多言語対応する際の基本的な考え方から、具体的な進め方、他館の成功事例、省コストでの対応方法までをまとめています。
「まず何から始めればいいの?」と迷っている方のために、実践的なヒントをお届けします。


この記事でわかること

  • 博物館における多言語案内表示の重要性とその背景
  • 多言語対応に関するよくある課題とその解決策
  • 実際の博物館での多言語対応事例とその工夫

なぜ今、博物館に多言語案内表示が必要なのか?

近年、訪日外国人旅行者の増加に伴い、博物館における多言語対応の重要性が高まっています。
展示物の理解を深め、来館者の満足度を向上させるためには、わかりやすい案内表示が不可欠です。
特に、文化や歴史に関する展示が多い博物館では、専門用語や背景知識の違いから、外国人来館者が内容を理解しにくいケースも少なくありません。

そのため、多言語での案内表示を整備し、誰もが展示を楽しめる環境を整えることが求められています。


博物館によくある多言語対応の悩み

対応言語の選定に迷う

「英語だけで十分なのか、それとも中国語や韓国語も必要なのか」といった対応言語の選定に悩む施設は多いです。来館者の国籍や地域性を考慮し、優先順位をつけて対応することが重要です。

学術用語の翻訳が難しい

展示解説には専門的な用語が多く含まれるため、直訳では意味が伝わりにくいことがあります。来館者の理解を助けるためには、平易な表現や補足説明を加える工夫が必要です。

デザインとの調和が難しい

多言語対応を進める中で、案内表示のデザインが煩雑になり、展示の雰囲気を損なってしまうことがあります。統一感のあるデザインで、視認性と美観を両立させることが求められます。


多言語案内表示の基本ステップ【博物館編】

① 翻訳が必要なエリアの整理

館内で多言語対応が必要な箇所を洗い出します。展示キャプション、常設・企画展の説明文、非常口案内、トイレ、受付周辺など、来館者の動線を考慮して優先順位をつけましょう。

② 対応言語の決定

地域性や来館者データをもとに、対応すべき言語を選定します。例えば、東京国立博物館では、日本語、英語、中国語、韓国語の4言語で展示解説を行っています。

③ 翻訳の品質管理

専門用語や文化的背景を考慮し、直訳ではなく意訳を用いることで、来館者にとってわかりやすい解説を提供します。ネイティブスピーカーによる監修や、やさしい日本語の活用も効果的です。

④ デザインの統一

多言語表示を行う際は、フォントやレイアウトを統一し、視認性を高めることが重要です。東京国立博物館では、題箋と解説文を分け、各言語の情報を整理したデザインを採用しています。

⑤ フィードバックの導入

来館者からの意見や口コミを収集し、多言語対応の改善に活かします。例えば、東京国立博物館では、来館者の動線や反応を観察し、解説文の内容や配置を見直しています。


他館に学ぶ!博物館の多言語対応事例

東京国立博物館:来館者視点の解説文

東京国立博物館では、外国人来館者の視点を重視し、日本語の直訳ではなく、来館者の疑問に答える形で解説文を作成しています。例えば、仏像の解説では、「阿弥陀如来とは誰なのか」「なぜ体が金色なのか」といった疑問に答える内容となっています。
(出典:文化観光コーチングチーム「HIRAKU」|公式note

広島平和記念資料館:17言語対応の解説

広島平和記念資料館では、英語、中国語、韓国語を含む17言語で展示解説を提供しています。翻訳には、各言語の専門家による監修を取り入れ、正確でわかりやすい表現を心がけています。
(出典:文化観光コーチングチーム「HIRAKU」|公式note

奈良国立博物館:多言語音声ガイドの導入

奈良国立博物館では、日本語、英語、中国語、韓国語の4言語に対応した音声ガイドを導入し、来館者の理解をサポートしています。
(出典:スマホ音声ガイド研究所


博物館でもできる、多言語化の省コスト対策

AI翻訳と専門家の併用

初期段階ではAI翻訳を活用し、最終的なチェックを専門家に依頼することで、コストを抑えつつ品質を確保できます。

デジタルコンテンツの活用

紙のパンフレットから、スマートフォンで閲覧できるPDFやWebコンテンツに移行することで、印刷コストを削減できます。

補助金・助成金の活用

文化庁や地方自治体が提供する補助金や助成金を活用することで、多言語対応の費用負担を軽減できます。


まとめ|「伝える力」で展示の価値を最大化する

多言語対応は、博物館の展示内容をより多くの人に伝えるための重要な手段です。言葉の壁を越えて、来館者が展示を深く理解し、満足度を高めることができます。

小さな改善から始めて、継続的に取り組むことで、博物館の魅力をより多くの人に伝えることができるでしょう。

制作物でお困りのことはございませんか?

当社では、観光施設向けに、翻訳とデザインを含む多言語対応支援を行っています。
「まず何から始めればいい?」「どの言語を対応すべき?」とお悩みの方は、お気軽にご相談ください。

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